2007年09月09日

空の舟

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写真はラファエル・ヴィニオリの手による建築物、あるいは又、舟に魅せられた建築家のモニュメントと言うべきか・・・しかし、この巨大構造物がやがては無惨な澪標となるだろう、と書き留めたら彼はなんと言うだろうか・・・

都庁が新宿へ移転した跡地に国際コンペによって東京国際フォーラムが建てられたのは1996年5月、都心の高層ビルが乱立する谷間に何故このようなランドマークが建てられたかのは理解に苦しむところだ。

黄昏に浮かぶ舟、この写真を撮影したのは2001年だから竣工して5年目のことだ、このとき既に中空に浮かぶ巨大な船体は唯一このカメラアングルからしか全体の姿を眺めることが出来なかった。

グーグルアースで確認したところ、幸いにして2007年9月現在も同じ風景である(らしい)が、目の前の空間に高層ビルが建てられることは時間の問題。やがては地上から「空の舟」の全体を見渡せる場所はなくなり、ビルの谷間に埋もれた無惨な竜骨と化してしまう。堆積物に閉じ込められた魚の化石。

遠く離れて仰ぎ見る「空の舟」をイメージした建築家の狙い(と、ぼくが勝手に想像しているのだけれど・・・)は打ち砕かれてしまうのである。

この建物は、小高い丘の上の周囲に視界をさえぎるものがないような場所に造られてこそ意味がある。だがしかし、現実は非個性的なビルが立ち並ぶ谷間に埋もれて漂う箱舟のように見える。

この場所に場違いな構造物を建てた関係者の愚かさを嘆けばいいのだろうか・・・何故この様なことになったのだろうか。こうなることをヴィニオリは知っていたのだろうか・・・

もののかたちには明確な意思がある。この建築家のコンセプトがいかなるものであれ、彼の手を離れて立ちすくんでいる巨大構造物が放つメッセージは悲痛だ。

・・・どうするつもり・・・

さて、このところはあまりの暑さで作業が捗らず、まだ帆船の姿は見えてこない。暑さに負けて昼間はエアコンの効いた部屋でデジタル写真の整理などをしていて、「空の舟」の一枚に眼が止まり自分の舟に「空の舟」を重ねている。

白露の節季だというのに連日30度を越す瀬戸内。8月末に帆桁の艤装も準備が整い、組み上げた帆を調整するための仮設帆柱も設置した、もう少し気温が下がったら帆を風にはらませようと考えているこの頃だ。

posted by さいもん at 18:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記